浮くか架空 (回文)
「漫画雑誌 架空」が3年ぶりに刊行されました。
西野空男さんから引き継いで、川勝徳重さんが編集発行人となっておられます。
166ページの半分が、川勝徳重さんのマンガのページとなっていることに圧倒されました。
川勝さんの「昭和我楽他万歳記」というマンガは64ページ。
1959年の日本を描いたマンガですが、雰囲気が出ていますね。
川勝さんが、おそらくマンガの中に描いてみたかったと思われていたのだろうと想像できる、その世界の空気が見事に描かれていると思いました。
なんとなく気だるいような陽射しを感じる、子供のころの日曜日の午前の印象というのか、なんか、そういう懐かしさがありました。
少女のポーズ、異様と思えるほど、うまく描かれていますね。
そういえば、作中に、横山エンタツさんが登場していましたが、近所で横山エンタツさんが暮らしておられて、私が子供のころ、エンタツさんの葬式が、その邸宅で行われるのを見物しに行ったことがありました。
週刊誌のカメラマンだと思いますが、電柱に昇って、庭から写真を撮っている場面を今も覚えています。
「ミヤコ蝶々が来た」と誰かが言っていたけれど、どこにいるのかわからなかったという、その時の記憶もあります。
エンタツさんの息子の花紀京さんは、私が高校生のころに行っていた歯医者に患者として来ているということを聴いたこともありました。
表紙には、その川勝さんのマンガのキャラクターが描かれていますが、この絵もいいですね。
ツイッターに川勝さんが、最初の1週間で50冊売れ、書店納品分を入れると100冊突破したと書いておられましたが、今まで刊行されてきた「漫画雑誌 架空」での根強いファンのかたがおられることもあると思いますが、表紙がいいということもあるでしょうね。
「月刊漫画ガロ」を踏襲したような造本も、過去の「漫画雑誌 架空」同様、魅力ですね。
次号も楽しみです。